今回は古宇利島の沖、水深40mに沈むUSSエモンズで潜ってみましょう。このポイントは体験ダイビングでは潜れませんが、「いつか潜ってほしいポイント」として紹介しておきます。
水面からブイのロープを伝って40mまで深度を下げます。途中には何もありません。落ち着いて潜らなくてはなりません。ここは島の北側にポイントがあるので南風が弱いときにしか行くことができません。
水深40mまで潜ると、戦後70年以上過ぎているにも関わらず、きれいな船体が静かに横たわっています。(写真&文:ICHI)

悲しい歴史

沖縄戦で標的になったエモンズは航行能力を失ったことで、敵の手に渡ることを避けるために米軍によって海没処分されたとされる駆逐艦です。乗組員60名が戦死したとされています。船には慰霊のプレートもはめ込まれています。
全長106mの船はもちろん破壊されていますが、実際に潜ってみると、その大きさは体感しますよ。

沈んだ船体の一部
大砲類もまだ当時のまま残っていて、私たちに平和の大切さを伝えているようです。

船のスクリュー

ダイバーと比べても、この部分はかなり大きなものだということがわかると思います。実はスクリューなんです。大人の男性の身長をはるかに超える大きさです。
このスクリューがいくつも回って太平洋を航行していたのですね。これだけを見ても、この船がいかに大きかったのかが想像できます。第二次世界大戦では多くの方がお亡くなりになっています。戦没者への哀悼の気持ちを忘れることなく潜ってほしいです。

船のスクリューとダイバー
私もまずは合掌してからダイビングをスタートしています。

ダイバーよりも大きい砲弾

船から少し離れたところにはこうして魚雷も普通に落ちています。これもダイバーと比べてみるといかに大きなものかがわかります。こんな大きな爆弾が戦争に使われていたのかと思うとやはり恐ろしいですね。
この他にも魚雷や砲弾、火薬、爆薬などは無数に転がっています。タンクの本数だけでなく、レックダイビングの基本的知識は必須となります。ちなみにこのポイントで3ダイブはできません。朝早めに潜り、長い水面休息をはさんで2本目を潜るスタイルになります。

巨大な砲弾
経験を積んで自信と技術が身についたらチャレンジしてくださいね。

深い場所を好むスジハナダイ

悲しい歴史を持つエモンズですが、今は漁礁となって多くの魚や生物がここを住処にしています。深場を好む「スジハナダイ」もここの住人になっていました。もちろん水深は深くて40mあります。長時間は潜れません。深い所で潜るので、水面に他のポイントと同じように浮上するのは危険ですし、体にもよくありません。自己管理が大切になります。ブイのロープを持ってゆっくり浮上していきます。途中で2回ほど「ディープストップ」をかけるガイドさんが多いはず。指示に従って落ち着いて浮上しましょう。

のんびり泳ぐスジハナダイ
深い場所ならではのお魚鑑賞もできますよ。

フグがくつろいでます

ロープのそばでは大きなフグがくつろいでました。フグに手を振りながらゆっくり浮上していきましょう。エモンズは沖縄本島エリアでも超が付くほどの上級ポイントです。潮が流れるととても速いです。それでもあえて紹介させてもらったのは、ぜひこの船を見て平和について考えてほしいのでいつか潜ってほしいからです。経験を積んだらぜひリクエストしてみてくださいね。 ブイのロープを持ったまま安全停止です。最後まで落ち着いて潜りましょう。

のんびりするフグ
自然と触れる機会が増えると平和について真剣に考えることも多くなります。
沖縄本島ダイビングポイントギャラリー