2.世界の海とウミガメ
世界中の海で生きる彼らについて見ていきましょう。日本近郊で産卵をする3種類の他、世界にはヒメ・ケンプヒメ・ヒラタと呼ばれるそれぞれの仲間と、オサガメというとても大きくなる種類もいることが知られています。
ヒメウミガメ
外洋で生活するタイプで、世界中の海で生息しています。アカウミガメに似た特徴があるので、日本でも近年まで同じ種類として呼んでいました。
昔から日本近海の海にもやってきますが、日本での産卵は確認されていません。
同じ種類の中でも少し小さめで、インド洋やアメリカ西海岸などで産卵することが知られています。
産卵の時期を迎えると集団で生まれた浜辺まで戻ってくるので、何千匹もの産卵の映像などをテレビで見たことがある人もいるのではないでしょうか?
一度は見ていただきたい圧巻の景観です。
ケンプヒメウミガメ
かなり個体数の少ない種類として知られています。生息地は、メキシコ湾やカリブ海を中心にした温かい海です。
ヒメウミガメに似た小さめの種類で、50年ほど前にはたくさん生息していました。現在では産卵可能な成熟したメスが1,000匹前後しかいないと言われ、絶滅危惧種となっています。
メキシコ湾はジンベエザメなどの美しい生き物が多い地域です。ダイバーならいつかは行ってみたいと思う場所とえいえるでしょう。 メキシコ湾にガラパゴス諸島・・南米にはダイバーが憧れる場所が多いので、陸の治安が安全になるといいですね。
ヒラタウミガメ
多くの仲間と違い、オーストラリア周辺やパプアニューギニアなどの狭い地域にしか生息していません。以前はアオウミガメと同じ種類とされていましたが、現在では別の分類になっています。 甲羅の大きさや体重なども同じくらいですが、頭蓋骨の形や甲羅が平たいなどオリジナルな形状をしています。
産卵が確認されているのはオーストラリア北部のみ。こちらも帰巣本能によって生まれた海岸に戻ってくる性質があることから、今後も生息区域はあまり広がったりしないのでしょう。
夏の間が産卵シーズン。南半球のオーストラリアなので11月から2月くらいになります。同島とパプアニューギニアの間にあるレイン島は、ウミガメの産卵地として有名です。
グレートバリアリーフの美しい海も世界最大の産卵場所として知られています。
この時期の海に潜れば、産卵のために岸に上がるのを待つために湾の中にひしめき合っています。ダイビング経験を積んで、海の中に漂う無数の美しい彼らを実際に目にできればいいですね。
世界最大のオサガメ
2メートル以上になるという、とても大きなオサガメ。頭としっぽを入れると実に3メートルくらいになることもあるそうです。これぞダイバーの憧れといえます。
外洋を回遊しながら生活していますが、日本でも伊豆や沖縄近辺でわずかに目撃情報があります。
主な産卵地は南米のトリニダード・トバゴ。日本でも一度だけ、奄美大島の嘉徳海岸に産卵のため上陸した記録が残っています。また、世界中の海を広く旅しているので、産卵のために生まれた浜に戻ってくるという習性もないのだとか。
前述した6種類は「ウミガメ科」に属しますが、こちらはオサガメ科という別の独立種です。
なぜなら、甲羅が存在しないからです。背中にある甲羅のように見える黒光りした部分は、発達した皮膚が硬く厚くなったもの。このような1種類しかいない生き物はとても珍しいと言われています。
陸上最大のカメ、ガラパゴス諸島のゾウガメが200キロくらいの大きさなのに対して、こちらは1トン近くに成長するとも言われています。
ガラパゴスのロンサムジョージが生きている間に会いに行く事は叶いませんが、ぜひオサガメとダイビングしてみてはどうでしょうか。
とはいえ、クジラと同様のレベルで1,000メートルの深さまで潜ることのできるオサガメですから、かなり頑張ってダイビングの経験値を積まなければいけませんね。
そんな彼は、実は恐竜の生きていた白亜紀の地層から化石が発見されています。つまり、大昔から変わらずに生き続けている「生きた化石」と呼べる生き物といえます。
有名なシーラカンスやオウムガイなどいかにも化石っぽい見た目の海の生き物と違い、柔らかい甲羅を持つオサガメが生きた化石ですから、神々しさがさらに増す気がしますね。
このように、世界では今まで多くの種類が異種や亜種と言われて混合されてきました。DNA鑑定が進んでいる現在でも、世界のウミガメ事情はまだ分かっていないことがたくさんあります。
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