4.新しい取り組み

サンゴ利用の過去と現在

沖縄では文化的に人間とサンゴとの関わりの歴史があります。海岸に流れ着く白化した石灰質を利用して、昔から石垣島では家屋の石垣に用いられてきました。
細かく砕いて屋根瓦の目地として、漆喰と同様に使われています。

海に流れ着く様々なものは白化したものも含めて国の財産なので、一切の持ち出しを法で禁じられていますが、実際にはあまり知られていません。
ただ、個人で楽しむために使われる程度の少量の場合、見逃されているという暗黙の了解はあるようです。

隠れているオニヒトデ
観光業の一環として、国際通りのアクセサリー店では白化したサンゴや貝殻を利用して手作りアクセサリーをつくるコースは女性の観光客に人気があります。

親子でも楽しめる1ジェルキャンドル作りは、海岸で拾った自然物をジェルキャンドルの中に閉じ込めることができ、体験ダイビングの素敵な思い出にもなります。
とくにサンゴランプ作りは隙間からもれる優しい灯りが幻想的で、思わず体験してみたくなることでしょう。

商業の世界でも海岸の集積サンゴは大活躍。那覇では白化した模様をプリントする鮮やかなサンゴ染めがお土産者として知られています。
35コーヒーも忘れてはいけません。こちらは、風化したものを使ってコーヒー豆を焙煎している珍しい商品。
おきなわワールドの向かいにあるケーブカフェで飲める他、空港やお土産物やさんなどで購入でき、売上の一部はベビーサンゴの移植活動に利用されています。

未来を考える新しい取り組み

世界でも保護のために様々なプロジェクトや研究が行われています。
人工産卵はとても難しいと言われていますが、条件さえ整えば毎月のように産卵をする種類もあります。
産卵した卵を集めて人工的に孵化させ、幼生の定着しやすい海に返す運動は盛んに行なわれています。

人工の珊瑚礁を3Dプリンターで再現する試みもあります。これを使えば、自然のように複雑な形を見事に再現できます。
幼生が定着しやすいような、炭酸カルシウムに近いセラミック素材で造ったサンゴ礁を海底に設置し、成長を促すプロジェクトがあります。

とはいえ、どんなに人が手を入れて助けようと試みても、元となる海の環境が整っていなければ育つ事はできません。たくさんの幼生を汚染された海に放しても、定着できないので増えることはまずないでしょう。

ひとりひとりの持つ観光への意識を改革するためにも、まずは沖縄の海を知ってみましょう。体験ダイビングは、普段見ることのできない海底の世界を間近に感じることができます。
美しい沖縄の海やそこに生きる数々の生き物たちの姿を目の当たりにして、心を動かされない人はいないでしょう。
百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかず・・・といいます。聞くだけでなく見てみなければわからない、そして考え行動して成果を上げれば、自分だけでなくみんなの喜びや幸せに繋がります。

地球上に存在する全ての生き物が幸せになれる未来のために、もっとサンゴの事を知ってみませんか。