3.サンゴの保護活動

国際自然保護連合(IUCN)によると、現在世界のサンゴ礁の3分の1が絶滅の危機にあるそうです。その中で、日本を始め世界中でも保護をするために数々の取り組みや研究が行われています。
適正濃度の海水や適温の中ではポリプで増殖するため、養殖や断片移植なども行われています。沖縄の海では植樹運動も盛んです。

IUCN
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白化するのは悪化した環境の中を生き抜き、生き残るための自衛本能なのではないかという仮説があります。
ポリプはいわば本体のクローン。そのため、一箇所のポリプに栄養を取り込むと、その養分を体全体に行き渡らせる事のできる仕組みを備えています。
そのように身体の一部のみを環境の変化に適応させ、適応できなかった他の部分を白化させて命を断つことによって、逆に命をつないでいくことができると考えられています。
また、死にかけの褐虫藻を栄養分として取り込み、身体の一部を白化させて生命活動を失くすことにより、残った褐虫藻の光合成能力を倍増させることができます。

人間の世界でも稀に、似たような極限状態の中で同様の方法で生き伸びることができるケースがあります。
SFのような話ですが、コールドスリープと呼ばれ研究もされている分野です。
人間の身体は体温が急激に下がると、低体温症になり命に危険が及びます。しかし、そういった極限状態の中で身体は心臓の動きを止めてしまわないように、まず手足の指先など末端への血流を減らし、身体の中心に血液を送るように機能し始めます。
そのため、冬山の遭難などのケースでは血流の滞ってしまった手指の細胞が壊死してしまいますが、命までは奪われずにすむケースがあるのです。中には、雪に閉じ込められた状態で3ヶ月ほども生き延びていたという事例もあります。

5億年もの長い間、地球環境が全く変化せずに穏やかだったとは考えられません。サンゴも自身の身体の一部を死なせて環境の変化に耐えながら、今の時代まで生き残ってきたというのは生物の進化の過程からも筋の通った話です。
環境の変化に適応できる生き物しか自然界では命をつないでいけないように、水質汚染や地球温暖化にも少しずつ適応しながら、これからの未来も生き延びて行くのかも知れません。

ただ、このような事柄から考えさせられるのは、沖縄の海の現状はサンゴが身体を白化して生き延びなければいけないほどの極限状態に晒されているという事実の裏付けともいえそうです。

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