5.地球温暖化
誰もが耳にしたことがあるともいえる言葉「地球温暖化」。
私達が日常で使っている車や工場から排出される煙などの中の二酸化炭素は、温室効果と言って熱を地球の表面に留まらせる性質があります。いわゆる石炭や石油、天然ガスなどを利用したエネルギー(化石燃料)は二酸化炭素を多く排出し、地球温暖化と言われる現象の原因となっています。
地球温暖化は、環境に様々な弊害を生み出しています。
地球全体の温度が上がっているので、グリーンランドを含む極地の氷が溶け、海面上昇が起きているのはよく知られています。
上昇が続けば、現在ただでさえ少なくなっている海岸沿いの砂地はさらに少なくなり、ウミガメの産卵地を窮地に追い込みます。
もっと進めば、極地とそれ以外の国や地域との温度差が少なくなり、極地の冷たい空気が内陸部にも流れ込んでくることになります。
風向きが変わり、基本温暖な海でしか生きられないウミガメの棲息地域を寒波が襲います。
また海流が変わり、それを頼りに生活しているため路頭に迷います。生態系にも変化を及ぼすでしょう。餌の減少もありえるでしょう。
既に、日本各地ではここ30年ほどで昆虫の生息地域に変化が訪れています。様々な種類の昆虫たちが、以前は見られなかった地域で生息が確認され、だんだんと生息地が北上していることが知られています。
ウミガメも2000年以降になってから、沖縄の宮古島ではなく岩手県の宮古市海域にも生息していることが確認されるようになりました。
近年の地球温暖化はやはり大変な影響を与えています。
彼女らが生んだ卵は24度から32度くらいの中で孵化します。冷夏で気温が24度以下の日が続いたり、逆に猛暑が続き気温が高すぎると、孵化することができずに死んでしまいます。
ウミガメは、卵の産み付けられた場所の砂の温度によって、オスとメスの性別が決まります。
一般的に29.5度が性分化の堺になる温度といわれており、砂の温度が29.5度よりも高い場所の卵はメスに、それよりも低い場所の卵はオスになります。
29.7度で丁度オスとメスがほぼ等しい数だけ孵化する事が分かっています。
また、砂の温度は、その砂の性質や日照時間、雨の量などによって変化します。例えば日が長く当たる場所の巣からはメスが孵り、日陰の卵からはオスが孵ると言った具合です。
水分量の多い砂は温度が低くなるのでオスが孵り、太陽光の熱の吸収量は砂の色によっても変化します。
ところが、地球温暖化の影響により砂の温度が上昇し、産まれてくる子がメスばかりになってしまうという事態が起こっています。
オーストラリアのグレートバリアリーフ近郊の海で産まれたアオウミガメのうち、なんと99パーセントがメスだったという調査報告も確認されています。
このような夏が続くと、将来大変なことが起こります。本来自然界では、1匹のメスに数匹のオスが集まって交尾となりますが、こんなにメスばかりだと1匹のオスの遺伝子ばかりが受け継がれることになり、将来的には遺伝的に近い集団になってしまいます。
同じ遺伝子配列を持った個体ばかりになってしまうと、急な環境の変化やウイルスなどの感染症が起こった時に耐えきれず、結局は全滅をしてしまうという事になります。
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